私と写真
私が、写真を始めたのは、オートフォーカスの一眼レフが出たときだから、三十に近い頃
だった。昔から私のまわりにも、写真、カメラ好きがいたが、もともとメカ嫌いという事もあっ
て興味を持つ事はなかった。人形で個展をするようになり、DM用の写真が必要なのだ
が、お金をかけるわけにもいかないので、カメラを持っている友人に撮ってもらうことになる。
その際、横からファインダーを覗くのだが、自分が乱視なのを知らなかったのでピントが
合わず、さらに写真嫌いになる。そうこうしているうち、オートフォーカスが出たというわけ
である。
二十数年前、私は陶芸作家を目指し、そのテの専門学校に入ったが、その頃の知り合
いでカメラマンを目指す男がいた。非常にウマがあったが、よくケンカにもなった。彼は
「お前のような神経の奴に、いい器なんてできるわけがねェ!」と言うし、私は
「あの山はお前が撮る前からデカイし、あの娘だってお前が可愛くしたわけじゃないだろ、
このカッパライ野郎!」とだいたい何時もこんな調子である。 後に私は、彼の予言の適
確さに驚くわけだが、彼はカタギのサラリーマンになり、一方私は写真展を開いたりする
ようになった。人形を題材にすることもあり、壁や地面、時には空まで造るはめになるの
だが、あの頃あんな暴言を吐いたバチだと彼は笑うのである。