大正十五年 天然色寫眞展覽會
| 大正十五年五月1日より十六日まで、大阪大丸呉服店にて大阪の写真科学会主催の |
| 天然色写真展覧会が催されている。設立年度などは不明であるが、大阪に次いで東京 |
| にも設立されている。 |
| 会則には事業として講演会及び展覧会が記載されているようだが、十五年時点で毎月 |
| の談話会と、雑誌を第七号まで出しているようである。 設立は鈴木陽(陸軍技術本部) |
| 後に三上壽恵吉が中心となり、鈴木は東京写真科学会の発起人にもなっている。 |
| 天然色写真展覧会は三月某日、新宿駅二階精養軒食堂にて、六桜社の江頭春樹と鈴木 |
| により話し合われ、写真科学会の事業の一環として開催する事を計画する。 |
| 当時大毎社(大阪毎日新聞社)は写真作品の募集中で、その中に色彩写真の項があっ |
| たので写真科学会のメンバー五人が監査役となり、一ヶ月の準備期間で催された。 |
| ひろく作品を募集し、会場では作品だけではなく理論、カメラ、操作、実験というようにこの |
| 時点で考えられる、天然色写真の情況を示したものであり、作品だけでなく、三色分解用 |
| カメラ、スコープ、プロジェクターなども展示された。一般の感心は高く、1万8千の観客を |
| 動員し、続いて7月1日より東京展も開催されている。なお会期半ばには以下の講演会も |
| 催された。 |
| 講演会 五月十一日 | ||
| 主催 大坂毎日新聞社※大正11年〜12年広告部に江戸川乱歩在籍 | ||
| 開会の辞 | 北尾鐐之助(寫展委員・科學會員) | |
| 講演 | 「スペクトラムと天然色寫眞」山部敬吉 | |
| 「天然色寫眞及其フヰルター」飯田舜造 | ||
| 「三色寫眞の原理及實際」江頭春樹 | ||
| 閉会の辞 | 三上壽恵吉(幹事) |
| 天然色寫眞展覽會 | |||
| 技法 | 出品者 | ||
| 一 | リツプマン式天然色寫眞 | 京都帝國大學工業化學教室 | |
| 二 | 瀘光板と乾板との分光寫眞 | 大阪工業試驗所 | |
| 三 | クロモスコープ | 京都市河原町 島津製作所 | |
| 四 | ミーデ式撮影機 | 亀井勝次郎 | |
| 五 | 中島式暗箱 | 小西六大阪支店 | |
| 六 | レーロ式暗箱 | ||
| 七 | バツトラー式暗箱 | ||
| 八 | ヨスぺ式暗箱 | 淺沼商會大阪支店 | |
| 九 | エルンストラーゲ法 | ||
| 十 | 中島式印畫法 | ||
| 十一 | ゴム印畫法 | 米谷紅浪 | |
| 十二 | グリユー印畫 | 村上誠三 | |
| 十三 | ピナタイプ法 | 京都市立工業研究所 | |
| 十四 | ヨスペ印畫 | 東条スチユージオ | |
| 十五 | 轉寫現像紙法 | 江頭春樹 | |
| 十六 | ブロモイル、トランスファー法 | 林平吉 | |
| 十七 | 亀井式透明板法 | 亀井勝次郎 | |
| 十八 | 亀井式印畫法 | 〃 | |
| 十九 | コロタイプ印刷法 | 大光寫眞工藝研究所 | |
| 二十 | スクリーンプレート | オートクローム | 鈴木陽 |
| アグファ・カラー・プレート | アグフア會社 | ||
| 二一 | キネマカラー | ||
| 二二 | 幻燈法 | ||
| 二三 | 漂白法 | ||