オイルプリントの制作
様々な処方があり、これはあくまで私の制作方である事をおことわりします。
処方その他、改良点ありましたら随時変更していきます。
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オイル(ピグメント)プリント |
| 1 ゼラチン紙の制作 (用具) 無酸紙 ゼラチン 水温計 ガラス板 水準器 ガラス棒 チモール(防腐剤) 使用する紙は、保存性の良い、できるだけ良質の無酸紙を 使うが、用紙の質感、色調によって作品の雰囲気は変わる。 始めに、紙の伸縮を取るために、一晩水に漬けた用紙を 乾燥させておき、ゼラチンを塗布する前に、また水に漬ける。 水500ccのなかに、ゼラチン35gを入れ、1時間置き、 その後38℃に暖め溶かしキッチンペーパーで 濾す。 ゼラチン液1500ccに対し、アルコール6ccに チモール1g溶かした溶液を混ぜる ガラス板、ガラス棒、ゼラチンを入れるメスシリンダーを、 熱湯に漬け、温めておく。 |
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温めたガラス板を水準器を使い水平にし、 間に空気が入らぬよう紙を載せ、水を切り、 ゼラチンを垂らし、ガラス棒でならす。 ゼラチン液に泡が入らぬように注意する。 これを取らないとピンホールができ、後の 修正が難しくなる。 |

季候にもよるが、15分ほどで、ゼラチンが凝固するので、
ガラス板から剥がし、平らなところに置き、後に画鋲でとめ
乾かす。私はゼラチン層を、後述の理由で厚く塗布するが、
仕上げ、完成後の保存など、気をつけなければならない。
壁などにとめていると画鋲を跳ね飛ばすほどである。
| 2 感光液の塗布 | |
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重クロム酸カリか、重クロム酸アンモニウム 6パーセント溶液5ccに、アルコール10cc を加え、平バケでムラのないように手早く塗 布する。塗りムラを避けるには 2%水溶液に 浸す方法が良い。 感光性が低いので、室内光のもとでの作業 が可能。感光液の塗布量はネガにより加減 し、塗布した用紙は保存が効かないので、 なるべく早く使いきる。 |
3 露光 |
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![]() KODAK HEVY WEIGHT PRINTING FRAME 8x10 プリントには、プリンター(焼成枠)を使う。 ずれないようにガラスで押さえられれば、特に 必要ないが、(ゼラチンを、厚く塗布した場合) 乾燥したゼラチン紙は押さえにくい。 |
| 露光時間は、真夏の直射光で3秒〜6秒 曇天では、数分〜数時間。北方の放散光 が良いとされるが、ネガの状態によって調 節すべきで、覆い焼きなど普通のプリント と同じようにする。 露光により、黄色だった塗布面が、茶色に 変化する。 |
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| 露光時間は、真夏の直射光で3秒〜6秒曇天では、数分〜数時間。 北方の放散光が良いとされるが、ネガの状態によって調節すべきで、 覆い焼きなど普通のプリントと同じようにする。 露光により、黄色だった塗布面が、茶色に変化する。 |
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| 4 水洗 | |
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| 水洗は、約20〜30分 表面の画像がきれいになくなるまで行うと、ゼラチンが 水を吸い厚みを増しレリーフ状になる。コントラストの高い 部分は、うっすらと輪郭線が見える。レリーフが立ちにくい 場合は水温を上げる。逆にたちすぎの場合はしばらく置き 乾かす。水洗後、化粧石鹸で洗うとか、インキングの前に 1度完全に乾燥させたほうが良い、そのままインキングを したほうが良いなど諸説あるが、どれも当時の作家が言う ほどの効果は確認していない。 |
| 5 インキング |
| 当時は、絵具は専用のものがあったが、リトグラフ用インク を使用している。絵具が硬い場合、アマニ油を入れる。特に 黒色がきれいに見えるが、乾きが遅い。インキングの間は、 プリント紙の水分が乾燥しないようにする。 問題はブラシで、当時のブラシの毛の硬さが解らず スポンジや、刷毛を切ったり、その切断面を焼いたり イメージに合うタッチのブラシを工夫して使い分けている。 接地面が平面であればいいわけで、このプリントでは染色 に使うブラシを使った。始めから先が平であり、安価である が、毛が抜けやすく、耐久性に欠ける。海外にはヒゲそり時 に使うブラシを使っている作家もいる。 |
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![]() ホッパー 反動を利用し、弾むようにインキングする。 |
| 最新寫眞科學大系特殊印画法 昭和十年 新光社より |
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| ブラシの使い方は、これこそ、このプリントの難しいところであり 醍醐味でもある。なれるまで、数をこなすしかない。 レリーフの立ち具合、インキングの具合により、ベンジンで拭き 取り、再度水やぬるま湯に浸けやりなおす。 (ホッピング)ブラシが画面につく瞬間に跳ね上げる。 (ダッピング)跳ね上げる速度はゆるやかに。 (プレッシング)画面に押し付けるようにする。 |
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| 6 仕上げ | |
| 時には、1時間以上叩いているので、ブラシの毛が抜け 画面に付くので、針のような物で、なるべく取る。 剥げたところは、まだ濡れている間に再度インクを付ける。 完成後、乾燥させる。インクを取り去り、再度温水に漬け、 レリーフを立てた後、インキングも可能。 |
| 7 フラットニング |
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| ドライマウントプレス機 前述のように乾燥後の用紙はめくれあがり 額装など困難なので、ドライマウントをしている。 |
8 完成
9 まとめ
オイルプリントが考えられてから数年後に、プリントした印画紙を
漂白してから同じ方法でプリントするブロムオイル法が発表され
安定した市販のプリント紙を使い、引き伸ばした大判のプリントが
得られるブロムオイルに以降して行ったのは、当然といえる。
現在のプリント紙はゼラチンに、硬膜処理がなされているので、
使う事ができない。(ケントメア製の印画紙など使用可能)
しかし、画調に影響を及ぼす用紙と、ゼラチンの厚みを工夫できる
というオイルプリントの利点も多い。厚いゼラチンによる印画は、
粒子の見えない画面も可能である。
大正時代のテキストどおりにやってみても、始めは全く画がでず、
肝腎な事を隠しているか、ページが欠けているのではないかと思っ
たが、実際やっていくと、ブラシの使い方など数をこなして熟練する
しかないことがわかる。そのためには、ネガにあわせた露光時間、
水洗時間の調節、それによる適切な含水量を知ることが必要である。
現在の感覚からすると、この技法は写真より版画に近く、実際画面
を1時間以上もブラシで叩いていると、写真をしている気がしない。
最近は使用フィルムなどが製造中止になり、デジタル出力した
製版用フィルムをネガとして使用している。そのため最近は大型
カメラよりも35mmカメラを使用する事が多くなっている。デジタル
と、この修験者の術のような技術は、両極ゆえに実は相性が良いと
考えている。 いずれにせよ、完成した作品は、時にブラシの毛
がへばり付いた超アナログである。
10 トランスファー法(転写法)
11 大正芸術写真