非銀塩古典技法 オイルプリント 【オイル・ピグメント・プロセス】
写真が発明された当時、画家は失業するなどと言われたようですが、その衝撃が
落ち着いた頃、写真はカメラという機械がが写す物であって芸術ではないという意
見も出てきます。
そこで一部の写真家達は、当時の印象派の絵画を手本とし、オイルプリント、ガム
プリント、ブロムオイル、カーボンプリントなど様々な絵画的効果の高いピグメント
(顔料)印画法を試みます。(その他ソフトフォーカスレンズの使用など)
日本でも明治期より始められ、大正時代を中心に芸術写真、絵画主義写真(ピク
トリアリズム)と称され流行しました。しかし第二次大戦後、リアリズム写真の時代
に入ると写真はカメラで現実を写すものであり、ピクトリアリズムは絵画を模倣した
前時代的な技法として非難される事となり、廃れていきました。
私は大正時代の文献をたよりにこの技法を試みましたが、当時は使用するネガは
ガラス乾板という時代ですので、計量の単位、用語など今とはだいぶ違っており、
既製品として出まわっていた道具なども、代用品を捜してやってみるしかありません。
この技法の一番の特徴は、ブラシを使い、油性絵具を叩きつけるようにして制作
するところで、そのためコントロールが自在で、そこが写真に自分の芸術性を込め
る事に夢中になっていた当時の作家に受け入れられた、ということになっています。
しかし、実際やってみると、画がなんとか出てくるのに数ヶ月を要しました。
オイルプリントという技法は、原理はとても単純なものですが、その成否はひとえ
にブラシの使い方の習熟度にかかっているといえます。
数ある写真技法の中で最もアナログな技法であるオイルプリント。(現在の感覚で
いうと、写真というより版画に近いと思われますが)デジタル化が急速に進む現在、
この技法を試みる事により得られるイメージは、私には大切な物と感じます。