カラーオイルプリント (オイルプリント・トランスファー)
天然色オイルプリント
大正十五年に陸軍技術本部の鈴木陽は天然色写真展覧会について『日進月歩
の世の中ですから異なった理論も發見されるでせうし又種々の改良考案が發明され
ると思ひます、例えば天然色オイル法も理論上出來る筈ですが日本でやつておられ
る人を聞かないことを考えると未だ々天然色寫眞の開拓すべき餘地があると思はれ
ます。』と云っている。鈴木は青焼き写真(シアノタイプ)の研究などで知られる人物で
ある。大正15年といえば、すでに市販の印画紙を使用するブロムオイルの時代なの
で、オイルの天然色化をこころみる人はいなかったと思われる。
制作
オイルプリントのカラー化は、三色(四色)分解したネガを使用したトランスファー
によらなければならない。 【使用プレス機】
始めにOHPフィルムを使用し、インクジェット・プリンターにて4色分解ネガをつくり、
制作した。 ![]()
私はオイルプリントのゼラチン層を厚めにひいている。階調を出そうと考えているうち厚
くなっていったが、一つには私がオイルプリントに”濃厚”な画面を求めているという事が
ある。私が『野島康三』作品を観てオイルプリントを始めた理由は、絵画的であるとかで
はなく、その濃厚さである。しかしそれは初期の野島独自の特徴であり、当時のピクトリ
アリズムの特徴ではない。
ゼラチン層が厚いと当然含水量が多く、その分、乾燥が遅くなり、作業中の水分補給の
必要はない。 当時の”ブロム”オイルの転写法のテキストによると、転写は一色につき、
3回はくりかえさないと絵具は充分に転写されないとあるが、やってみると、一回でほぼ
転写された。ゼラチンの含水量が多いので、油性絵具が移りすいという事であろう。その
分プレス機の圧をかけないで済む。圧のかけすぎはゼラチン膜にダメージを与えるので
気をつけなければならない。